1998年12月29日 川崎競馬場
サラ3歳 ダート1600m


第49回全日本3歳優駿GII


橋田厩舎大活躍の1年   CloseUp!ウエノマルマドンナ
CloseUp!ウエノマルマドンナ

 98年の地方馬の最高殊勲は、もちろんアブクマポーロだけれども、敢闘賞は、高知のカイヨウジパングと上山のウエノマルマドンナ(写真→)にあげたい。
 ほんの数年前まで高知は、隔離されたというと誤解のある表現だけれども、中央はおろか他の地区ともほとんど交流のなかった競馬場。上山も、東北三県では常に交流していたけれども、全国レベルにはどうにもという地区。その地区の馬が、積極的に外に出ていって、ちゃんと勝負になった。一般的にはぜんぜん目立たないけれども、これも交流が広がった効果ってやつだろう。
 カイヨウジパングは、名古屋優駿GIII8着、サラブレッドチャレンジカップ4着、ダービーグランプリGI6着。
 ウエノマルマドンナは、エーデルワイス賞GIII5着、東北サラブレッド3歳チャンピオン3着、そして今回の全日本3歳優駿GII7着。
 どっちの馬も中央との全国交流では、勝負にならないわけじゃないけど掲示板に届くかどうかというところ。地方だけの交流(東北サラ3歳は東北地区だけだけれども)になると、勝ち負けに近いところまでの勝負になっているというのが、興味深い。もちろん着順だけがすべてではないけれど。
 遠征に慣れて、いろんなペースの、いろんな競馬を経験できれば、確実にもっと上の着順になっただろうというのは、全部のレースを見ての感想。個人的にはとても楽しませてもらいました。

 で、カイヨウジパングについては、ダービーグランプリのクローズアップで書いたから、今回はウエノマルマドンナ。

 「いやー、ペース速くてね。向正面でアドマイヤの後ろにつけられたから、これを目標にしていけばいけるかなと思ったんですけどね。それでも直線は一瞬、イイ脚を使ってくれましたね」(千場)
 はじめての左回りについては・・・
 「左回りだと、内にささって追いづらかった」(千場)
 3度の遠征について・・・
 「いい経験をさせてもらいました」(千場)

 ちなみに千場俊彦。エーデルワイス賞のときは、出遅れたり、コーナーがうまく回れなかったりとかで、かなり渋い表情。東北サラ3歳のときは、自分のレースができたけど、勝ったハイテンションパルが強すぎたという満足の表情。で、今回は速いペースに戸惑って、左回りで内にささったりで、やっぱり渋い表情。
 結局東北3県だけのレースだと、それなりに慣れていて対応できるけれども、中央と一緒だとなかなか流れに対応できないといった感じ。
 こんなところを見ても、馬は(騎手も)いろんなレースを経験していかないと強くならないんだということを、あらためて感じた次第。

 でも遠征って、やっぱりお金がかかったりとかで、馬主さんの理解が必要だし、それよりも何よりも、遠征できるような強い馬に巡り合わないと実現しない。端から見てるより、はるかに大変なもんです。経験だからといって、勝負にならないような馬を連れていっても、ぜんぜん逆効果だものね。

 ウエノマルマドンナは、そのまま南関東に残って、大井の岡部盛雄厩舎に転厩したもよう。冬だけの一時的な転厩なのか、このまま居ついてしまうのかは不明。


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