市丸博司のPC競馬ニュース ASADA
 第429回 2014.3.7

払戻率の変更が発表される

 これ、いつか書いたよなあ、と思って探ってみれば、約2年前のことだった。このときのニュースでは「地方競馬を支援するために」となっているが、結局のところ中央競馬もこれに乗っかる形で払戻率が変更されることになったのは、みなさんニュースでご存じの通りである。そもそも競馬法の払戻金関係は、第7条あたりで中央競馬について記され、その後の第22条で「地方競馬について準用する」という扱いである。もちろん、ここをごっそり変えられないわけでもなかろうが、これまで通りなら、地方について変えるなら中央競馬もついてくる形。そこで実際に足並みを揃えるかはさておき、そうなる可能性はあったということだろう。

 この払戻率の変更は、まず地方競馬の大半について先月28日に発表され(リンク先は3月3日の掲載)、中央競馬が3月3日。さて、その他の地方競馬はどうなるんだ、もしこのままだったら3連単を買う層が、払戻率の高いほうへ流れるのではないか、などと思っていたのだが、昨日になって園田(いや、兵庫)が新たに発表している。これまで、佐賀だけは3連複を75%(他場は72.5%)にするということだったが、園田はJRAに合わせて枠・馬複・ワイドが77.5%、3連複は75%、そして3連単は他場と同じ72.5%とのことだ。地方競馬の中では比較的難しい部類に入る園田、現時点での余力の差もあるのかもしれないが、なんにしても当たりやすい馬券種別への誘導を強く打ち出した形になる。
 これまで何度か書いてきたが、主催者にとってあまり有り難くない競馬ファンというのは(そもそも買ってくれるだけでお客様は神様ではあるが)、当日の馬券資金を3連敗なり4連敗で使い切ってお帰りになってしまう人。次いで、ドカンと当てた払戻金で馬券以外のものを買ってしまう人。逆に有り難いのは、1日に何度も馬券を的中させては次のレースを買い、トータルで手持ち資金の5倍も10倍も馬券を買ってくれる人である。同じ1万円のマイナスでも、全敗で帰ってしまえば、その人にかかる売上は1万円。1万円の資金で5万円分の馬券を買い、4万円の払い戻しを受けての1万円マイナスのほうが、売り上げには繋がってくれるのである。
 そんな視点を馬券種別も絡めて考えると、3連単で一発高配当を当て、みんなで飲みに行こうとか、なにか家電でも買おうか、旅行に行こうか、というのは、我々の目指すところではある一方で、主催者側からすれば有り難くない。単複や馬連、ワイドあたりで着実に当たりを積み重ね、そのお金で次の馬券を買って、最終レースが当たれば儲かる、くらいでやってくれると、売上は伸びてくれる……、はずだ。

 さて、今回の変更では、中央と園田がその方向(当たりやすい馬券への誘導)へ振った形、そして他場はほぼ3連単の払戻率を下げただけ(一応、約74%から75%に上がることは上がるのだが)という形である。それでも3連単と馬複の間に少し差がついて多少なりとも誘導されるかもしれないが、3.5%上がるのと0.5%くらい上がるのとでは、やはり受ける印象は大きく違ってくる。恐らく、残るばんえいやホッカイドウ、浦和、船橋も追って発表があると思われるが、さて、それぞれどう変わってくるだろうか。
 これでうまく資金が回転して売上自体が伸びる方向に向かえば良いが、券種別の比率が変わらず売上も伸びずで、3連単の払戻率引き下げ分だけ主催者側が儲かった(=ファンは損した)という形になると、これはファン離れの加速に繋がってしまう。以前にも書いたように、そのファンが離れるまでの間に一時的に儲かった分を撤退費用に充てる、なんてことにはならないで欲しいもの。そのためにも、個人的には3連単より馬複を買って資金をどんどん回転させたいところ。また主催する側には、馬資源の確保云々という問題もあるとはいえ、なんとか馬複でも買いやすい(あれこれ考えさせられる)オッズになりそうな番組作りを目指して欲しい。さすがに馬複で1倍台、3連単ですら3倍やそこらというレースがいくつもあると、これはちょっとやりづらい。

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Gおやせら