市丸博司のPC競馬ニュース ASADA
 第430回 2014.3.14

三重勝馬番号二連勝単式勝馬投票法

 払戻率の変更から、ちょっと馬券まわりの新たな決定、あるいは検討に関する発表や報道が続いており、今週は、楽天競馬がSPAT4の投票システムを導入するといった話題もあった。楽天競馬といえばポイント。現在は、たくさん買う人ならオッズパークが安定してポイントがつき、また楽天のポイントよりは現金により近いもので戻ってくる。楽天のポイントも、月10万ポイントを超えれば「楽天キャッシュ」なるもので支払われ、期間限定縛りや、1回の買い物について上限3万円の縛りなどはなくなるのだが、これを現金化しようとすると少々手数料が大きい。ただ、ふだんさほど買わない人が、たまにちょっと買ってみよう、というときに大きなポイントをもらいやすいのは楽天競馬のほうだった(そして、その程度のポイントなら買い物にも使いやすい)。また、投票のやりやすさならオッズパークという部分もあったが、そこに地方の中ではもっとも投票しやすかったSPAT4がポイントサービスをはじめ、そして今度は楽天競馬が投票サービスの改善。地方もIPAT投票の開始からしばらく経ち、またいろいろと変化の出てきている今年である。

 そしてもうひとつ。今週は大井で「トリプル馬単」なるものを50円以上10円きざみで発売する、というニュースがあった。最近、「馬券」を実際に目にしていないという方も多いだろうが、馬券に書いてあるのは「1枚分10円」。もともとルール上は10円単位での発売は可能だった。ただ、実際にこれをやってしまうと1円単位の払い戻しが面倒くさそうだ、とかなんとかいろいろあって100円単位にはなっているが、SPAT4(電話、ネット投票)限定なら、このあたりの問題はクリアされる。
 だがしかし。「トリプル馬単」。競馬法施行規則っぽく言えば、タイトルに書いた「三重勝馬番号二連勝単式勝馬投票法」って「あり」なのか、という疑問がひとつ。以前、競馬関係の法などについてだらだら書いたことがあったが、そのときのものを振り返ると、重賞式は「二重勝馬番号二連勝単式勝馬投票法」、今回の大井の発表風に言えば「ダブル馬単」までしか記されていなかった。これは現在、JRAのサイトに掲載されている競馬法施行規則でも同様で、中央競馬の第6条で「ダブル馬単」について記されており、地方競馬については第45条の2項で「中央と基本的には一緒ですよ」となっている。
 さて。これはどうなのか。先の記事で法関係に触れたところを見ると、「TCKは“勝馬投票券の発売は競馬法第5条第2項に規定する勝馬投票券をもって行う”との内容で規定されていた特別区の条例をすでに変更済み」とある。ただ、法の第5条第2項というのは「日本中央競馬会は、前項の勝馬投票券10枚分以上を1枚をもつて代表する勝馬投票券を発売することができる」、100円単位で「売ることもできる」という話であり、別に10円きざみでどうのということで変更する必要があったのかどうなのか、ちょっと微妙な気もしないでもない(でもわさわざ変えたというのだから、必要はあったのだろう)。そして、肝心の「トリプル馬単」の法関係については触れられていない。

 さて、いったいこれはどうなっているのか。佐賀で「七重勝単勝式」を導入したときの「特区」のようなものなのか、競馬法施行規則がなにか変更されるのか、というのを探ろうとしたところで、まず行き当たったのが、大井競馬のプレスブリーフィング動画だった。重賞式に関する話は動画の28分あたりからで、「競馬法実施規則の改正がございまして、いろんな形の投票方法が可能になってございます」と。これは「競馬法施行規則」のことと思われるが、どうやら競馬法改正と同時に、こちらも変更があったようである。そもそも先にあったWIN5の上限が6億円になるというところで気づいていないといけないもので、競馬法施行規則の第11条では「最高限度額は2千万円とする」とあり、100円単位なら2億円というのが今までのルール。これが6000万円になるなど、といった変更とともに、発売可能な馬券の種類も拡大されている、ということなのだろう。

 じゃあ、そのあたりなにがどう変わったかって、どこで見られるの、という話。こんな重要なもの、JRAやNARのサイトにすぐ載せてくれ、と思わなくもない。見つかったのは「官報」である。これを見ると、今回大井が発表した「トリプル馬単」、のほか、「トリプル馬連」や、「特区」でなくても「WIN6」「WIN7」が発売できるとの決まりになったようだ。まあ、そう簡単に当たるものではない上、当たったときに税金を持って行かれかねないという問題がクリアされていないのが非常に大きく思えるのだが、いずれにしても「こういう変更があって、こうなりました」という理由がはっきりしたので、とりあえずすっきり、である。

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