牝馬2強にシンザン記念組は絡めるか?
みなさん、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。カレンダーの関係もあって2週連続でお休みをいただき、その間に有馬記念や東京大賞典はもちろん金杯まで終わり、JRA賞が発表され、そしてフェアリーSでは「あの馬もこの馬もいないのか」なんてこともありつつ1月10日である。
そのフェアリーSの「あの馬もこの馬も」は、賞金で出走が確定した馬がいない状態から16/24という抽選を行ったから、なのだが。その結果として、フルゲートにはならなかったシンザン記念にまわることになったのが、ワイレアワヒネだった。てっきり抽選を嫌ったとか、中山遠征を嫌ったとか、中山より京都のほうが向きそうだとか、出走馬の発表直後はそんなことではないかと想像していた。しかしなんのことはない、フェアリーSの除外馬の中にこの馬の名前があり、そのままシンザン記念に再投票、ということのようである。
ともあれ。このワイレアワヒネと、フェアリーSに投票していれば賞金順で出走できたカクシアジの2頭が、牝馬として今年のシンザン記念には出走してきた。ワイレアワヒネの注目どころは、なにより前走・新馬戦の勝ちっぷり。牝馬同士の上に稍重馬場、どこまで信用していいのか微妙とはいえ、なにせ強い競馬だっただけに、ここも一気に突破して不思議はない。一方、ホッカイドウ競馬デビューのカクシアジは祖母が紫苑Sの優勝馬・インゴット。もうちょっとさかのぼるとフサイチコンコルドなどと同牝系になる。こちらは芝適性がどうなのかがカギになるが、スウェプトオーヴァーボード産駒で出世する馬は芝中心という面もあるので、もしかしたら、という可能性はある。いずれも、今回のレースぶりに大いに注目したいところだ。
そして、もしこの2頭がもし好走できれば……、ということで名前が挙がってくるのが、ジェンティルドンナにダイワスカーレット、そしてマルセリーナ。過去10年で3着以内に入った牝馬3頭は、いずれも桜花賞馬に輝いているのだ。もう少しさかのぼると、ここで3着以内に入った牝馬にもクラシックで好走できなかった馬も見られるようになるが、それでもマルシゲアトラス(オークス2着)、シーキングザパール(NHKマイルC1着)、ダンツシリウス(桜花賞1番人気)、フサイチエアデール(桜花賞2着)、などといった名前がずらずらと。この時期に重賞で好走しているのだから、クラシックでもそれなりの地位を占める馬がいて当たり前ではあるが、「牡馬の3着以内」に比べれば、後々に主役になったり、それに次ぐような評価をされたりする馬になる確率が圧倒的に高い。直近にあたるジェンティルドンナの年は、牡馬勢がちょっと手薄かなあ、という部分があったのに対し、今年はもう少し良いメンバー。ただその分、ここで好走できれば、後々の楽しみがさらに大きく広がるとも言えそうだ。
さて、そんなシンザン記念。確かに過去10年の3着以内馬から桜花賞馬3頭、というのはすごい。すごいのだが。他のレースと比べてみないことにはピンと来ない部分もある。そこで。1994年以降の牝馬三冠レースで3着以内に入った馬について、それ以前に3着以内に好走していた牡馬混合重賞を調べると。もっとも多くの牝馬三冠3着以内馬を出しているレースが、このシンザン記念だった。先の桜花賞馬3頭に加え、秋華賞3着のロゼカラー、そして桜花賞2着のフサイチエアデールの5頭が、シンザン記念3着以内から、牝馬三冠で3着以内に好走していた。
そして。このシンザン記念に並ぶのが札幌2歳Sだ。こちらの3着以内馬からは、プライムステージ(桜花賞3着)、テイエムオーシャン(桜花賞、秋華賞)、アズマサンダース(桜花賞2着)、ヤマニンシュクル(秋華賞2着、桜花賞3着)、そしてアヴェンチュラ(秋華賞)という面々だ。昨年の札幌2歳Sはといえば、極悪馬場の中で後の2歳女王レッドリヴェールが優勝したレース。もちろんこの馬はこんな傾向を引っ張り出さなくても注目されるが、2着だったマイネグレヴィル(その後アルテミスS6着、ホープフルS9着)も、もしかしたらオークス、あるいは秋華賞あたりで一発があるかもしれない。
この両レースに続く4頭の好走馬を出すのが京王杯2歳Sだが、昨年の牝馬は5着が最高。よって次に3頭で、新潟2歳Sが挙げられる。このレースから出世した牝馬といえば、5着だったメジロドーベルとか、3着でも外国産で牝馬三冠とは無縁だったシーキングザパールなのだが、今回の「3着以内→牝馬三冠3着以内」の条件では以下の3頭。桜花賞3着のダイワルージュ、秋華賞3着のウイングレット、そして桜花賞、オークスとも2着で穴を演出したエフティマイアだ。そして昨年の新潟2歳Sはといえば、ハープスターの豪快な差し切り勝ち。阪神JFでは前述のレッドリヴェールにハナ差負けを喫したが、こちらもクラシックの有力候補の座にあることには変わりない。
と、ちょっと違った視点から今年の牝馬三冠を占ってみたが、そんな視点でも名前が挙がるのが、現時点の「牝馬2強」とも言えそうなレッドリヴェールとハープスターなのである。そこに穴候補(このあと好走を続ければ別だが)として入ってくるのがマイネグレヴィル。さらに、今週のシンザン記念でワイレアワヒネかカクシアジが3着以内に入れば……、というところだが、さて、どんな結果になるだろうか。しかし、そのワイレアワヒネに加え、ニシノミチシルベなど有力どころがドカっと除外になったフェアリーSはどうなってしまうのか。それでも底を見せていない馬、上向いてきた馬も中にはいるので、今後へ向けてまったく参考にならないとは言えないのだが、4月や5月の話よりも前に、目の前の馬券を当てるのがまず難しい。